ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)は、同じ「発達障害」という枠に含まれていますが、実際にはまったく異なる脳の動きを持っています。私はこの両方の特性を併せ持つ「併存型」として生きる中で、それぞれに必要な理解と対応の違いを強く感じてきました。
1.ADHDの特徴
・集中の波が激しく、興味のあることには極端に集中するが、関心のないことには注意を保てない
・衝動的な言動が出やすく、思いついたままに行動してしまう
・忘れ物や遅刻が多く、時間感覚がずれる
・感情の起伏が激しく、周囲の反応に敏感
・タスクの管理や整理整頓が苦手
ADHDへの対応
・タスクを細かく分けて「今やること」を明確にする
・リマインダーやアプリなど外部ツールで管理する
・机や部屋の構造を固定して「探さなくてよい環境」をつくる
・人に頼る習慣を持ち、孤立しない
・感情的な反応が出たときは、5秒呼吸を意識して立て直す
・「完璧」より「進行中」を優先する考え方を身につける
2.ASDの特徴
・人との会話で相手の意図や感情を読み取りにくい
・曖昧な指示や予定変更に強いストレスを感じる
・強いこだわりがあり、自分なりのルールを大切にする
・光・音・匂いなどへの感覚過敏がある
・興味の範囲が狭く、深く掘り下げる傾向がある
ASDへの対応
・スケジュールや手順を「見える化」して安心できる構造を作る
・予定の変更はできるだけ事前に伝える
・曖昧な言葉を避け、具体的に説明する
・静かで刺激の少ない作業環境を整える
・感覚過敏には照明・音・服の素材などを調整して軽減する
・本人が落ち着ける「安全な居場所」を確保する
3.併型(ADHD+ASD)の生き方
ADHDは動きたい脳、ASDは整えたい脳。二つが同居すると、動きたいのに動けない、整えたいのに崩れてしまうという矛盾が生じます。
しかし、その狭間にこそ創造性と深い集中力が生まれます。私自身はASDの傾向が強く、衝動性が生み出す行動力と、こだわりが強くルールがないと落ち着かない性質のあいだで生きています。周りの方に事前に自分の特性や症状を伝えることで理解を得ながら、必要な場面ではフォローしてもらい、両方の特性を状況に応じて使い分けることで、仕事や人間関係を少しずつ整えてくることができました。
発達特性は「欠点」ではなく「設計情報」です。自分の脳を知れば、環境を整える方法が見えてくる。
ADHDとASDの違いを正しく理解することは、他人を知る前に「自分を守る」ための第一歩だと感じます。
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